なぜ「がんばり」は伝わらないのか
現場でよくある悩みのひとつに、
- 改善したつもりなのに評価されない
- 大変さは伝えているのに理解されない
- 「がんばっている」と「結果が出ている」が切り離されてしまう
というものがあります。
背景には、主観と客観のギャップがあります。
- 主観:自分の体感・疲労感・工夫した手数
- 客観:他者から見える数字・成果・変化
このギャップを埋めるのが、「数値化」という翻訳作業です。
このテーマに気づいたきっかけや、実際に悩んだ経験は、
note記事の中盤「主観の『当たり前』は、客観の『当たり前』ではない」という段落で書いています:
数値化は「感情を捨てること」ではない
「数字で語れ」と言われると、
- 感情を排除する冷たい世界
- 人間味のない評価
をイメージしてしまうかもしれません。
しかし、本質は逆です。
💠 数字は、感情や努力を “伝わる形” に整えるための器。
- どれだけ大変だったか
- どれだけ工夫したか
- どこに葛藤や迷いがあったか
それらを、「変化量」「再現性」「効果」として示すことで、
初めて他者と共通の土台で話せるようになります。
具体例:主観→数値の翻訳パターン
📌 パターン1:負荷の可視化
- 主観:「最近、ラインがかなりキツいです」
- 数値:
- 休憩以外の無停止稼働時間が○時間に増加
- 残業時間が平均△時間増加
- 1人あたりの段取り替え回数が×回→□回に増加
📌 パターン2:改善の可視化
- 主観:「かなり段取りを工夫しました」
- 数値:
- 段取り替えにかかる平均時間:10分 → 7分
- 1日あたりの生産可能数:100個 → 115個
- 不良発生件数:1シフト○件 → △件
ここで大事なのは、「完璧な統計」ではなく、
💠 以前と比べて、何がどれくらい変わったか
を、他者にも共有できる形にしておくことです。
翻訳のコツ:3つの問い
主観的な「がんばり」を数値化したいときは、次の3つを自問してみてください。
- 何が増えたか/減ったか?
- 回数、時間、件数、距離、個数…
- どこと比べているのか?
- 先月・去年・前のやり方・他ライン…
- その変化は、誰にとってどんな意味があるか?
- コスト、安全性、品質、納期、負荷…
この3つが整理できれば、上司や別部署に対して、
- 「こう感じています」ではなく
- 「こう変わったので、こういう意味があります」
と話ができるようになります。
関連コンテンツ
📚 note側の背景ストーリー
👉 【序章】製造業の工程&担当業務を数値化すること──いつの時代でも最重要課題
📚 数値を「金額効果」にまで変換する考え方
👉 【第1章】努力を “成果” に変えるにはロジックが要る




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