フルタイム勤務がしんどい。
週5日働くだけで限界。
「普通」に働いているつもりなのに、何度も体調やメンタルを崩してしまう。
そんなとき、多くの人はまず自分を責めがちになる。
💠「自分に何か問題があるのではないか」
💠「医学的にメンタル疾患があるのではないか」
それでも、「普通に働いていたい」「社会から完全には降りたくない」という気持ちは消えない。
内側でざわつきを抱えたまま現場を渡り歩いてきたわたしの経験をもとに、
- 社会が暗黙に前提としている「標準スペック」をいったん言葉にしてみる
- 標準スペック前提と、自分の体力・メンタルの差を落ち着いて見比べる
- その差から、「どんな働き方から距離を取るべきか」の目印をつくる
という流れで、”これ以上すり減らさずに働き続けるための条件” を整理していく。
詳しい時間軸やエピソードは、note の
「“壊れやすい身体”と生きていくための、わたしなりの設計図」
のほうで書いている。
ここでは、その物語の裏側にある「考え方の設計図」だけを切り出してまとめていく。
フルタイム勤務がしんどいと感じるのは「甘え」ではない
フルタイム勤務がきついと感じたとき、多くの人は reflex(反射)的に「自分のせいだ」と考えがちだ。
「みんな普通にやれているのに、自分だけ弱いんじゃないか」
「頑張ればできるはずなのに、根性が足りないだけなんじゃないか」
このように自分を追い立てているあいだは、たしかに「まだやれる気がする」。
けれども、自分を責める方法で走り続けると、ある地点から先は根性論では、ねじ伏せられない領域に入っていく。
睡眠をとっても抜けきらない疲労が溜まり、休日に横になっていても、身体の重さだけが残る。
一生懸命自分を鼓舞してきたメンタルがじわじわと削られていき、ある日ふっと底が抜ける。
頭では「行かなきゃ」と分かっているのに、身体のほうが先にブレーキをかけはじめる。
この状態を「努力不足」や「性格の問題」として扱い続けるのはさすがに無理がある。
そこにあるのは、
🔸社会が暗黙に前提としている「標準的な働き方」と
🔸自分の身体・メンタルの前提条件がずれている
という、ごく現実的なギャップだ。
ハイスペックなマシンを前提に設計されたソフトウェアを、ギリギリの性能しかない端末で無理やり動かす。
最初のうちは何とか持ちこたえても、負荷がかかった瞬間に固まったり落ちたりする。
それを見て「この端末、やる気ないね」とは誰も言わない。
人間の身体に対してだけ、前提条件を無視したまま、高負荷をかけ続けてしまう。
ここで必要なのは、精神論をさらに積み増すことではなく、「自分はどういう仕様の身体なのか」を一度冷静に見直すことが重要になってくる。
社会が暗黙に期待している「標準スペック」とは何か
では、その「前提」とは何か。
求人票には「未経験可」「アットホームな職場」といった曖昧な言葉しか書かれていない。
だが、実際に職場が回っている前提には、もっと細かいスペックが織り込まれている。
朝から夕方まで、集中力を大きく落とさずに業務を回せること。
週5日の勤務が続いても、週末と睡眠でコンディションをある程度戻せること。
多少きつい人間関係や理不尽さが続いても、仕事そのものを投げ出さずに踏ん張れるだけのメンタルの余裕があること。
これに、通勤や家事を足し合わせてみると、「見えない前提」はさらに増える。
満員電車や渋滞に毎日耐えられる体力。
日中の強い照明やざわついたオフィスに晒されても、神経がすり減りきらない感覚の余裕。
シフト変更や残業が続いても、生活リズムをなんとか立て直せる回復力。
こうした条件はどこにも明文化されないが、制度やシフトの設計は、この「標準スペック」を基準として組まれる。
だから、スペックから外れている人間は、スタート時点からほぼ常に負荷ギリギリの状態で走ることになる。
暗黙の前提が共有されていないまま、
「頑張ればできる」
「慣れれば何とかなる」
といった言葉が投げられる。
その「頑張れば」は、いったい誰のスペックを基準にしているのか。
そこが曖昧なまま「甘え」というラベルだけが飛び交うため、自分の標準仕様とのズレが発生する。
「標準スペック」と自分の体力・メンタルの差を見える化する
必要なのは、「標準」と「自分」のあいだにあるギャップを、一度感情を抜きにして脇に置いて眺めてみることだ。
やり方は難しくない。
たとえば、最近の一週間を一つ拾ってきて、ざっくり思い出してみる。
🔸月曜の朝、出勤前にどのくらいの余力が残っていたか。
🔸水曜あたりで、身体の重さや頭のノロさがどこまで増していたか。
🔸金曜の夜、仕事が終わったときに「まだ何かできそう」だったのか、それとも「横になる以外の選択肢が消えていた」のか。
もう少しスパンを延ばして、一ヶ月単位で見てもいい。
🔸繁忙期が続いたとき、どのあたりから睡眠が崩れはじめたか。
🔸人間関係のトラブルやミスが重なったあと、仕事以外のことに手がつかない状態がどれくらい続いたか。
細かい数値や指標を出す必要はない。
大事なのは、
「どんな条件が揃うと、毎回決まって崩れるのか」
というパターンを拾うことだ。
それがそのまま、その人の「標準スペックとの差」になる。
体力の問題なのか、回復にかかる時間なのか、感覚の敏感さなのか、メンタルの底の深さなのか。
どこで差が出ているのかを、静かな目で見ていく。
ここでやってはいけないのは、その差を見つけた瞬間に、
「だから自分はダメなんだ」
という結論に飛びつくことだ。
差は、優劣ではなく、ただの条件の違いにすぎない。
そこから先に、「どういう使い方なら壊れにくいか」という設計の話がやっと始まる。
自分の前提条件を書き出すためのチェックリスト
とはいえ、「前提条件を言語化してみましょう」といきなり言われても、仕様書のように整理された言葉は出てこない。
そこで、視点を揃えるための問いをいくつか用意しておく。
たとえば、次のように自分に問いかけてみる。
- 平日の中で、どの時間帯にいちばん消耗しているか。
- 立ち仕事と座り仕事では、どちらがまだ耐えやすいか。
- 人と話す時間が長い日と、黙々と作業をする日とで、疲れ方はどう変わるか。
- 通勤時間が30分延びたとき、そのぶん何が削られているか。
- 睡眠がいつもより1〜2時間少なかった翌日、どの程度までパフォーマンスが落ちるか。
完璧な答えを出そうとしなくていい。
「だいたいこんな感じだ」と思えるレベルでかまわないので、紙やメモアプリにそのまま書き出しておく。
ここでのポイントは、「壊れやすさ」を人格の問題として捉えないことだ。
気が弱いからでも、根性が足りないからでもない。
そうではなく、
こういう環境だと落ちやすい
こういう条件の組み合わせが揃うと、確実に崩れる
といった パターンの問題 として扱う。
それが、その人にとっての「前提条件」になる。
職務経歴書に書かれることはないが、働き方を設計するうえでは、むしろこちらのほうが重要な情報だ。
前提条件が分かると、避けるべき働き方が見えてくる
前提条件がある程度見えてくると、「自分に合っていそうな仕事」を探す前に、「高確率で自分を壊す働き方」のほうが先に浮かび上がってくる。
長時間の立ち仕事が決定的に合わないと分かっているなら、その時点で外すべき職種がある。
通勤そのものが体力とメンタルを大きく削ると分かっているなら、在宅勤務か、職場までの距離が極端に短い働き方を優先する必要が出てくる。
常に怒号が飛び交うような現場がメンタルを直撃すると分かっているなら、「体育会系のノリ」や「根性論」を売りにしているような職場は、どれだけ条件が良く見えても候補から外したほうがいい。
選択肢を削るのは、生活費や目標などの背景を考えると難しいかもしれない。
だが、前提条件を無視して「何でもできます」と言い続けることのほうが、長い目で見ればはるかにリスクが高い。
自分の身体とメンタルの仕様を前提にすると、使えるカードはいったん減る。
その代わり、残ったカードは、
❌「壊れながら続ける働き方」ではなく、
✔️「壊さずに続けられる働き方」
に近づいていく。
このページでやったことは、派手な解決策ではない。
それでも、
- 自分の前提条件を「仕様」として言い切ること
- 標準スペックとのギャップを、責める材料ではなく設計材料として扱うこと
- そのうえで、「近づくべき働き方」より先に「距離を取るべき働き方」をはっきりさせること
この三つのうち少しでも腑に落ちるポイントがあれば、ここまで読むことで次の一歩を踏み出せる。
ここで整理した前提条件を土台にして、
次は「バグ一覧表」や「自分なりの働き方ルール」といった、もう少し具体的な設計に落としていくことができる。
壊れやすさを恥として隠すのではなく、「自分仕様という身体」として扱う。
最後に「一般社会標準スペック」と「現在の自分スペック」の差を見つける方法と、自分の前提条件を書き出すためのチェックリストを、具体的に何をすればいいか?
👇フォーマットのご案内
【スペック差分シート】
| 項目 | 一般社会標準スペック(仮) | 現在の自分スペック | 差分メモ |
| 体力 | |||
| メンタル | |||
| 感覚負荷 (音・光・人混みなど) | |||
| 生活リズム (睡眠・シフト・残業など) | |||
| 通勤・移動 | |||
| 業務内容 (対人中心/一人中心) | |||
| 職場空気感 (体育会系/静かめなど) |
【自分の前提条件を書き出すための「専用フォーム」】
自分の前提条件(仕様)を書き出すための設問フォームです。
コピー&ペーストでご利用ください。
【自分の前提条件・書き出しフォーム】
1.平日の中で、どの時間帯にいちばん消耗しているか?
メモ:
2.立ち仕事と座り仕事では、どちらがまだ耐えやすいか?
メモ:
3.人と話す時間が長い日と、黙々と作業をする日とで、疲れ方はどう変わるか?
メモ:
4.通勤時間がいつもより延びたとき、そのぶん何が削られているか?
メモ:
5.睡眠がいつもより1〜2時間少なかった翌日、どの程度までパフォーマンスが落ちるか?
メモ:
6.過去を振り返って、「このパターンが続くと必ず壊れた」という組み合わせはあるか?
(例:残業+早番が◯日続いたとき/人間関係トラブル+繁忙期が重なったとき など)
メモ:
7.逆に、「この条件ならまだ持ちこたえられた」と感じる組み合わせは何か?
メモ:


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