無理を前提にした働き方は、どこで破綻するのか?

──「安全ライン」と「最低条件」を自分仕様で引き直す──


はじめに|一般的な働き方で悩む方へ

フルタイムの「普通の働き方」に合わせ続けることが、肉体的にもメンタル的にもきつい。

そう感じているのに、「みんなやっているなら自分もやるべきだ」「このくらいで弱音を吐くのは甘えだ」と、自分をねじ伏せてしまう。

その結果どうなったか、という体験そのものは、note の
「生まれつきのバグを前提に、どう働き方を組み直してきたか」
で、具体的に体験談を記録した。

👇【生まれつきのバグを前提に、どう働き方を組み直してきたか】


このページは、

  • フルタイムの「普通の働き方」がしんどい
  • けれど、周りに合わせて無理を続けてきた
  • その結果、一度は大きく崩れたことがある、あるいは崩れかけた

そんな人に向けた「働き方の設計用ページ」だ。

📌安全ライン
📌働き方の最低条件

という二つの考え方を、働き方の見直し・組み直しの “設計” に織り込むためのテクニックを紹介する。


なぜ「安全ライン」と「最低条件」がいるのか

生まれつきの性質や持病を抱えたまま、標準仕様の働き方に合わせ続けるとどうなるか。
答えはもう、自分の身体とメンタルが教えてくれていると思う。

最初は「ちょっと無理している」くらいで済む。
休日を寝て過ごせば、なんとかリセットできる。
それでも回るうちは、「まあ大丈夫だろう」で押し切れてしまう。

問題は、その状態が何ヶ月も、何年も続いたときだ。

あるラインを越えると、

  • 休んでも戻らない疲労感
  • 思考が重く、ネガティブから戻れない感覚
  • 「仕事」というアプリだけでなく、「働く」というOSそのものが固まる

というところまで、一気に落ちることがある。

無理を前提にした働き方が破綻するのは、「特別にメンタルが弱いから」でも「根性がないから」でもなく、
🔸自分の安全ラインと最低条件を、そもそも設計していなかったから
という側面も大きい。


「安全ライン」とは何か

現場の仕事には、かならず「安全ライン」がある。

🔸これ以上重いものを一人で持ってはいけない。
🔸この状態の機械には近づいてはいけない。
🔸この作業は、疲れている状態でやってはいけない。

これらを破ると、事故の確率が一気に跳ね上がる。
だからこそ、作業標準や安全マニュアルに明文化されている。

同じように、自分の身体とメンタルにも安全ラインがある。

ここでいう安全ラインとは、

「このライン越えた状態が続くと、数日〜数週間単位で、明らかにダメージが残る」

という境界線だ。

拘束時間、連勤日数、夜勤や長距離の頻度、重いものを扱う量、プレッシャーの強さ。

人によって項目も、ラインの位置も違う。
それでも、「あの組み合わせはさすがに無理だった」というパターンは、いくつか思い当たるのではないだろうか。

無理パターンを「ただの黒歴史」で終わらせず、
💠「このラインが自分の安全ラインかもしれない
という暫定ラベルを貼る。


「最低条件」とは何か

安全ラインが「ここから先は危険ゾーン」だとしたら、最低条件は「ここを長く割り込んだまま働くと、自分が壊れやすくなるゾーン」だ。

理想の働き方とは違う。
「こうなったらいいな」と願望条件ではなく、

「これだけは、長期的に割り込ませて続けないほうがいい条件」

という下限のラインだ。

たとえば、

  • 週に一度は、心身ともに完全オフにする日が必要だと感じている
  • 夜勤や長距離は、短期ならまだしも、数ヶ月単位では続けないほうが安全だと自覚している
  • 体調が明らかに悪い日に「気合いで乗り切る」のは、月に◯回までが限界だと経験上わかっている

このような感覚を、「なんとなく」ではなく、日本語の文として書き下ろしたものが、最低条件になる。

最低条件が決まっていると、

  • 仕事を選ぶときに、「譲れないライン」がはっきりする
  • いまの働き方が、そのラインをどれだけ侵食しているかに気づきやすくなる

というメリットがある。


自分の経験から「安全ライン候補」を抜き出す

まず、過去に一度大きく崩れた時期、もしくは「かなり危険だった」と感じた時期を、一つだけ選ぶ。
細かい時系列まで正確でなくてOK。

“崩れた・危険だった” と感じた時期について、

  • 一日の働き方(起きてから寝るまでの流れ)
  • 仕事の中身(身体にくる作業か、頭とメンタルにくる作業か)
  • 休み方(どれくらい休みを取れていたか)

3つのポイントを軸に、記憶の範囲で文章にしてみる。

そのうえで、その時期を思い出した時に、

  • ここが一番しんどかった
  • ここが続いたのが決定的だった

と感じる条件を、一つか二つ選ぶ。

それを、

「自分は、◯◯がこのくらい続くと、長期的には耐えられなくなる」

という一文にしてみる。

この一文が、そのまま自分の安全ライン候補になる。


条件は「OKかNGか」の二択にしない

安全ラインや最低条件を決めるときに失敗する要因として、「完全にOK」か「完全にNG」かの二択にしてしまうことだ。

現実的に生活を振り返ってみよう。身近な生活にはグラデーションがある。

  • 短期ならダイエットを続けられた条件
  • 一時的なつなぎとしてなら受け入れられる条件
  • 続くと確実に崩れる条件

このような濃淡を、そのまま濃淡として扱ったほうが精度が上がる。

たとえば、
「夜勤や長距離の仕事は、一ヶ月限定の短期なら引き受けられる。
 ただし三ヶ月以上続いたとき、自分は確実にメンタルを落としてきた
というように、

🔸期間
🔸頻度
🔸組合せ

を自分の言葉で書き分けておくことができる。

期間・頻度・組合せは、働き方の設計図の “指標” として、後からいくらでも更新できる。
(長い人生において、自分の成長度合い、ライフスタイルに合うように設計図を書き直せる)


頭の中ではなく、「見える場所」に置く

安全ラインや最低条件は、頭の中で決めただけだと、簡単に上書きされる。
焦り、罪悪感、周りからの圧力が強いときほど、「まあ今回だけは」と自分で踏みにじってしまう。

だからこそ一度文章にしたら、
🔸ノート
🔸スマホのメモ
🔸冷蔵庫やデスクの端
など、「毎日必ず目に入る場所」に置いておくことを推奨する。

note 記事の中では、「やってもいい条件」「やらない条件」を紙に書いて冷蔵庫に貼った、という話を書いた。

あれは単なるエピソードではなく、

📌「自分で決めた最低条件を、その場の感情で書き換えないための仕掛け」

でもある。

👇【条件はデジタルではなく、アナログで設定】

一度外に出した言葉は、そのあと見直すこともできて、書き換えることもできる。

また、最大のメリットとして “書く” という行動によって、自分の内側を可視化できる。
“内側の言葉” は “書いたメモ” として残り続けるので「自分の条件を再認識」できるのだ。


おわりに|破綻を「突然の出来事」にしないために

無理を前提にした働き方が破綻するとき、”突然” が表面化する。
ある日を境に動けなくなったり、ある出来事をきっかけに糸が切れたりする。

けれども実際には、その前に何度も、何度も、小さなサインが出ている。
そのサインを拾うゆとりもなく、条件を見直す視点も持てなかっただけだ。

“安全ライン” と “最低条件” を言葉にしておくということは、「小さなサイン」を少しだけ早めに認識するということだ。

生まれつきの性質や壊れやすさを前提にしないと社会活動が厳しい人間が、それでも働き続けるために必要な【自分だけの仕様を引き直す】こと。

💠 自分にとっての安全ラインはどこか
💠 自分なりの最低条件は何か

私の経験から導き出されたテクニックが、少しでも皆様のお手伝いとなれば嬉しい限りだ。


フォーマット|自分仕様の「安全ライン&最低条件」シート

【① 崩れた/危なかった時期】

いつ頃のことか?
どのくらいの期間、続いていたか?

例)
・2023年○月〜○月ごろ
・繁忙期の2ヶ月間 など

____________________

【② そのときの働き方の条件】

● 一日の流れ(ざっくりでOK)
・起床:_____
・出勤〜退勤:_____
・帰宅後の状態:_____

● 仕事の中身
・身体にくる負荷:_____
・頭やメンタルにくる負荷:_____

● 休み方
・休日の取り方:_____
・休んでも回復しなかった感覚があったか:_____

【③ 一番しんどかった条件】

「ここが一番きつかった」「ここが続いたのが決定的だった」と感じる条件を一つか二つ。

・条件1:__________
・条件2:__________

【④ 自分の安全ライン候補】

③をもとに、一文にしてみる。

「自分は、______が、______くらい続くと、長期的には耐えられなくなる」

【⑤ 働き方の最低条件】

「ここを長く割り込むと、自分が壊れやすくなる」という下限のラインを書いてみる。

・週あたりの休み方の最低条件:_____
・夜勤/長距離などの上限:_____
・体調が悪い日に無理をする回数の上限:_____

【⑥ 指標としてメモしておきたい “期間・頻度・組合せ”】

・期間:どのくらい続くと危ないか?
・頻度:週/月あたり、何回までなら耐えられるか?
・組合せ:どの条件が重なると一気にきつくなるか?

____________________

※これらは、働き方の設計図の「指標」として、あとからいくらでも更新していい。
長い人生の中で、自分の成長度合いやライフスタイルに合わせて、設計図を書き直していける。

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