電磁波スペクトル入門──「光=波長」の整理メモ

私たちが「光」と聞いて思い浮かべるのは、目に届く明るさや色ですが、
物理学の言葉に言い換えると、それは「ある波長の電磁波」です。

スマホの電波も、Wi-Fiも、目に見える光も、じつは全部 “電磁波” という同じ仲間です。

ここでは、note記事『光の「見える」と「見えない」──3つの学問から見た「可視/不可視」の要点』のうち、「物理学の基礎」部分を、もう少しだけ丁寧に分解しておきます。

👉 物理学の基礎:光の正体は「波長」の仲間


電磁波とは何か

電磁波は、電場と磁場がセットになって振動しながら伝わっていく“波”です。

  • 電場:電荷に力を及ぼすはたらき
  • 磁場:磁石や電流に力を及ぼすはたらき

この2つが時間的・空間的に変化しながら広がっていく様子を、まとめて「電磁波」と呼びます。
真空中では、電磁波はすべて同じ速さ(光速)cで進みます。


「周波数」と「波長」と光速

波の状態を表すとき、よく出てくるのがこの2つです。

  • 周波数 f:1秒あたり何回振動するか
  • 波長 λ:山から山までの長さ

真空中では、

光速 c = f × λ

という関係が成り立ちます。

同じ速さで進むので、周波数が高くなれば波長は短くなり、
周波数が低くなれば波長は長くなります。


波長で名前が変わる電磁波

電磁波は「どんな波長か」で呼び名が変わります。大雑把に並べると、こんな感じです。

  • 波長がとても短い側:ガンマ線 → X線 → 紫外線
  • 真ん中あたり:可視光線(およそ380〜780nm)
  • 長い側:赤外線 → マイクロ波 → 電波

可視光線は、この中のごく狭い帯域にすぎません。

電磁波という“ファミリー”全体から見れば、人間の目が直接拾える範囲はほんの一部です。

日常のなかにも、次のような領域で電磁波として分類されます。

  • 例:
    • 波長がとても短い側:ガンマ線(放射線治療など)
      • → X線(レントゲン撮影)
      • → 紫外線(日焼けの原因)
    • 真ん中あたり:可視光線(およそ380〜780nm、私たちが色として見ている部分)
    • 長い側:赤外線(リモコン、サーモグラフィ)
      • → マイクロ波(電子レンジ)
      • → 電波(Wi-Fi・ラジオ)  
「ガンマ線から電波までを波長順に並べた電磁波スペクトル図(可視光の帯域がごく狭いことが分かる)」
電磁波全体像イメージ
(ガンマ線~電波までを、波長の短い順に並べたスペクトル図。真ん中の細い帯が「可視光」です)

可視光線と不可視光線の線引き

note本編では、

可視光線: 人の目が感知できる約380nm~780nmの波長域。
不可視光線: 可視光線より波長が短い(紫外線、X線など)か、長い(赤外線、電波など)電磁波。

と書きました。

ここでのポイントは、

  • “物理的な中身”としては、どれも同じ電磁波
  • 違うのは「波長(=周波数)」だけ

という整理です。

「可視/不可視」という言葉は、
電磁波の側の都合ではなく、人間の感覚器の側の性能で線が引かれている呼び方だ、
という視点を持っておくと、あとで量子光学・光工学の話とつながりやすくなります。


note記事とのつながり

この記事では、note本編のうち

  • 「物理学の基礎:光の正体は『波長』の仲間」

の部分を、専門用語を補足しながら整理したものです。

続きとして、

  • 「量子光学の入り口(光子と網膜)」
    → 「量子光学編:光子のエネルギーと網膜のしくみ」
  • 「光工学パーツ(見える化)」
    → 「光工学編:不可視光を“見える化”する技術」

を読んでいくと、note記事全体の立体感が増してくると思います。

👇 note記事

👇 量子光学パート:【可視光は「網膜が選んだエネルギー帯」──量子光学の視点で”見える”/”見えない”】

👇 光工学パート:【見えない光を道具で検出する──光工学から見た「見える化」】

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