市場は読めても、感情は読めない──わたしの中の”もうひとつの相場”

変化ログ

トレードは、感情の鏡だった

2025/06/12、GOLDCFD(XAUUSD)で+75pips。しかし取引ノートの1行目に走っていたのは、価格ではなく心拍数110。

感情ログ:クリック1秒前─心臓の鼓動/期待8-10

チャートの陰影を追うたびに、その向こうで微かに揺れる”わたし”がいる。利確や損切のたびに──数字より先に胸の奥が上下する。市場を読もうとするほど、読まれていたのは私自身だった


思考は冷静、しかし感情がざわつく瞬間

”恐れ”が数値になるとき

  • テクニカル条件はそろい統計的にも優位。それでも指は震える。
  • ロスカット─42pips後に再生されたのは「また下手を晒した…」という自己否定のシナリオ。
  • 感情は0 / 1ではなくアナログな波形を描く──まるで別チャート。

損切り後に現れる”自動再生思考”

  1. 自己否定スクリプト:「次で取り返さないと」
  2. 未来完了スクリプト:「もしホールドしていたら…」
  3. 比較スクリプト:「SNSのあの人は勝っているのに」

”はず”と現実の隙間で、感情は独自のローソク足を刻む。


市場と”わたしの相場”は別物だった

外の相場(マクロ)内の相場(心理)
米雇用統計 / CPI期待と不安の波形
ゴールド現物需要の変化損失回避バイアス
プラチナ供給懸念 / 南ア鉱山スト自己保存本能
シルバー産業需要の急増欲望と取り残され恐怖
Copper 在庫急減“当てたい” 衝動の膨張

アルゴリズムは外の相場をミリ秒で解析できても、内の相場を読むコードはまだ存在しない。たからこそ、わたしは”観察者”としての目を鍛えるしかない。


感情を深掘りすると、探求が始まった

STEP1|数値+体感を書き出す

  • 約定価格・pips・Lot(GOLD/PLTNM/SILVR/COPPR)
  • 心拍数または主観スコア(0-10)
  • 時刻・環境音・体調メモ

STEP2|可視化する

  1. TradingViewスクショ─GOLD/PLTNM/SILVR/COPPRの価格チャートをJSONで書き出し
  2. 感情スコアを重ねる─Exel や Pandas で心拍数・主観スコアを折れ線グラフに変換
  3. オーバーレイ合成─Canvaなどを利用してチャートに感情ラインを透明度50%で重ねる
  4. 注釈を入れる─大きな揺れポイントに吹き出しで感情メモを追加

STEP3|問いを立てる

  • Q1:なぜその瞬間に”エントリー”をためらった?
  • Q2:「損失が怖い」の裏にある”意味”は?
  • Q3:探求心が萎む瞬間はどこか?

統計学は、過去を確率に還元する。
探求心は、未来を問いに変換する。

トレードは「勝つか負けるか」のゲームから、”わたし”を読むフィールドワークへと姿を変えた。


外の相場と内の相場、二重チャートを生きる

市場はこれからも不確かだ。
私もまた、不確かな感情を抱え続ける。

けれども──

  • 読み解けるもの/読み解けないものを見極める眼差し
  • 損益ではなく”観察の厚み”を積み上げる習慣
  • 探求心という通貨を利益ではなく理解の深度へ再投資する覚悟

これらがあれば、相場がどう揺れても”内なるチャート”は折れない。
市場を読む力」より、「読み続けられる私を育てる力」──
それが、これからの最大のリスクヘッジであり、最大のリターンだと考える。

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